理学療法士に必要な能力とは何か?
その能力を身につけるためにするべきことを解説します。
結論からいうと、理学療法士に必要な能力は…
- コミュニケーション能力(聞く力、説明する力)
- 観察力
- 論理的・総合的に考える力
- 計画力
- 探求心・勉強意欲
- 忍耐力
これらの能力は、理学療法士以外の医療従事者にも必要な能力ですが、リハビリでは患者様や利用者様と関わる時間が長いことから特に必要な能力であると言えます。
なぜこれらの能力が必要なのか?
身につけるためにすべきことを私の経験も含めて解説していきます。
なぜ6つの能力が必要なのか?
『理学療法士の役割は大まかにいうと、病気やケガで低下してしまった「基本的な動作」を回復を促し、在宅復帰や日常生活の向上を目指すこと』です。
しかし、実際はそれだけではありません。
理学療法士の仕事とは患者様や利用者様だけでなく、家族・さまざまな職種と関わり、目標達成のために全体をマネジメントすることだからです。
では、リハビリに関する知識や経験だけでこの役割を果たすことは可能か?
私の経験上、知識や経験だけでは到底無理です。
それぞれの能力がなぜ必要なのか、どのような場面で必要になるのか解説していきます!
①コミュニケーション能力(聞く力、説明する力)
分かりやすいように対象別に解説していきます。
対象:患者様・利用者様
私たち理学療法士が治療を立案し目標を設定するためには、何よりも先に患者様や利用者様の悩みや希望を聞くことが大事です。
その悩みや希望を引き出すには「聞く力」が必要となり、その聞く姿勢がその後の信頼にもつながります。
私は傾聴する時間もリハビリスタッフとしては重要な時間だと思います。
時間に追われていることが多いですが、「今この方には何が必要なのか?」を考えることが大切です。
また、患者様や利用者様から信頼を得るには、状態の理解を促し指導する「説明する力」が必要です。
私がよく患者様や利用者様から、「前の担当の人はただ言われたことをやらされるだけで、自分の身体の状態を説明してくれなかった。」と言われることが多かったです。
説明もなしに「あれやれ、これやれ」と言われても…患者様や利用者様はやりたくないですよね。
注意しないといけないことは、診断や病態に関することは医者が説明することなので、理学療法士は患者様や利用者様の評価で知りえた「運動機能面や障害面」に対してのみ説明を行います。
対象:患者様・利用者様の家族
リハビリスタッフは在宅復帰や日常生活の向上を図る上で、患者様や利用者様の家族と関わることはよくあることです。
患者様や利用者様の情報、家族の希望を聞くことは大切なことですが、それだけでは不十分です。
私が心がけていることは
①家族も不安に思っていることが多いので寄り添う「聞く力」
②不安を解消できるように家族への適切な指導や提案を行う「説明する力」です。
なぜなら、機能回復や向上を促すためには家族の協力も必要不可欠だからです。
対象:さまざまな職種のスタッフ
病院や施設、クリニック、訪問など…どの環境においても他職種との協力関係、連携は重要になります。
その際、お互いの意見を「聞く力」、患者様や利用者様の状態や今後の方針を「説明する力」が必要です。
私がいた病院では方向性を決めるカンファレンスが毎日のようにあったので、早いときでは1週間で方向性の調整を行うこともありました。
この「聞く力」「説明する力」があれば他の職種からも信頼を得られるでしょう。
②観察力
患者様・利用者様へ介入するとき、私たちは離床や運道で負荷を与えます。
その時、患者様・利用者様がどんな状態か把握していないと悪化させてしまう可能性があります。
検査データや情報がなくても、「普段と何かが違う」と気付けるか?
顔色、反応、話し方、動き方…
リハビリスタッフは日々身体機能を評価し治療しているので、普段との違いに気付ける可能性が高い職種です。
この「気付き」が患者様・利用者様を救うことがあります。
③論理的・総合的に考える力
身体機能評価や検査データをもとに状態を把握し、治療計画を立てていく論理的な思考力。
患者様や利用者様の生活や家族に関する情報などを総合的に判断して最終的な方向性や目標設定を行っていく思考力。
この2つを持ち合わせることで、在宅復帰や日常生活の向上を図るために必要な手段がはっきりします。
④計画力
理学療法士の仕事の流れは、身体機能を評価し、情報を収集して、それらを総合的に捉え治療計画を立てていきます。
特に病院や施設においては病床の回転率を上げるためや算定上の問題で、短期間での成果を求められることもあります。
そのため、ADL向上・目標達成に向けてどのくらい期間が必要か、それまで何を準備するべきかなどを考えて計画を立てる力が求められます。
⑤探求心・勉強意欲
理学療法士は身体機能面の知識だけではなく、病態や治療、薬剤、介護保険、福祉用具などさまざまな知識が必要になります。
なぜなら、評価と治療を繰り返し、状態と情報をもとに方向性が妥当か総合的に判断しなければならないからです。
養成校で学ぶことは国家試験での知識が大半で、臨床において理学療法士が必要な知識は膨大です。
さまざまな知識を持つことは、患者様・利用者様の可能性を広げることにもつながります。
⑥忍耐力
リハビリスタッフは、長時間患者様や利用者様と関わるため、さまざま話や悩みを聞くことが多いです。
特に病院や施設、スタッフ、他の患者様や利用者様への不満は対応し切れないものも多く、リハビリスタッフにとってはストレスになりやすいです。
また、リハビリという職種はチーム医療でもマネジメントを担うことが多く、他の職種との間に挟まれることもしばしば…。
求められることが多いリハビリという職種には、その期待に応えるための「忍耐力」が必要とされます。
能力を身につけるためにすべきこと
①コミュニケーション能力(聞く力、説明する力)
理学療法士の仕事を始めてから、スタッフとカンファレンスやミーティング以外でも患者様や利用者様の話をしたり、他愛もない話を患者様や利用者様、スタッフと話すようにしていました。
私は学生時代、人と話すことや関わることがとっても苦手でした。HSPなので特に…。
その状態を改善するために自分から積極的に話したり、海外ドラマや映画を見て、感情の読み取り方や論理的な表現を勉強するようになりました。
- 話している人に姿勢を向ける
- じっと見つめるのは避け、時々目を合わせて相槌を打つ
- 話の内容によって相槌や返答の声のトーンを変える
- 適当にあしらわず、話に興味を示し、その人がどんな人か評価する
- 感情や想像ではなく、事実に基づいて説明する
- 評価や検査の解釈できるように知識をつける
- 慌てず、間を持って話すようにする
②観察力
「普段と何か違う」と感じられるかどうか?
私の経験上、感覚的に気付けるスタッフは少なく、そのスタッフの性質によります。
まずは、患者様や利用者様の普段の様子を観察する癖をつけることが必要です。
知識をつけ、経験を積むことで「普段と何か違う」気付けるようになるでしょう。
③論理的・総合的に考える力
論理的、総合的に考える力をつけるには、理学療法だけでなく検査や病態、薬剤などさまざまな医療知識をつけることがまず必要です。
知識をつけながら、
「なぜそれが良いのか?」
「なぜダメなのか?」
「その手段を選択した理由は?」
「そう言える根拠は?」
選択した手段や判断した理由を説明できるようにしましょう。
『木を見て森を見ず』にならないように多角的な視点を持ち、全体を見ることが大事です。
④計画力
はっきり言って、この「計画力」には経験が必要になります。
そのため、慣れないうちは自分だけで判断するのではなく、先輩スタッフに相談して治療計画を立てる方がいいでしょう。
普段から短期、長期での計画を立てることをおすすめします。
経験を積むことで、ケースに応じてスムーズに計画を立てることが出来るようになります。
⑤探求心・勉強意欲
新人時代にやりがちなことは、治療手技ばかりに目が行きやすいことです。
まずは、担当している患者様や利用者様の状態を把握することが重要です。
基礎的な知識をしっかりつけるようにしましょう。
毎日時間を決めて、その日に疑問思ったことや気になったことを1つでも調べるようにしましょう。
最初は勉強すべきことが膨大に感じますが、その時に必要な知識をつけ、それを臨床でアウトプットしていくことで理解できるようになります。
⑥忍耐力
人によってこの「忍耐力」には差が出ます。
真面目過ぎる人やHSPの人は特にストレスで体を壊すこともあります。
ちなみに、私は新人時代、毎日自分で反省会をして落ち込む日々を送っていました。
自分を追い込まず、自分の力量を把握し、現状で出来る最善を尽くすことが大事です。
また、自信をつけるように知識と経験を積むこと。
あとは、プライベートでは仕事のことは考えずに自分の好きなことに時間を割き、良く寝ることです。
まとめ
理学療法士に必要な能力は、以下6つです。
- コミュニケーション能力(聞く力、説明する力)
- 観察力
- 論理的・総合的に考える力
- 計画力
- 探求心・勉強意欲
- 忍耐力
この6つの能力があれば、どの分野においても理学療法士としての価値や信頼度は上がっていくでしょう。
人によって能力は違いますが、「行動は21日で、思考は180日で習慣化される」と言われています。
能力を身につけるためにはまず「意識改革」が必要です。
それでは、また!Fin.📹